「北上川をめぐる多彩な活動の紹介」


北上川流域連携フォーラム
日  時 :平成10年2月18日(水) 13 : 00〜16 : 15
会  場 :ベリ−/ホテル―関「磐井の間」
      岩手県一関市山目三反田179
入場者数 :約600名
主  催 :北上川流域連携交流会・北上川流域市町村長懇談会
       岩手県・宮城県・建設省東北地方建設局
後  援 :朝日新聞社盛岡支局、毎日新聞社盛岡支局、読売新聞社盛岡支局、
      岩手日報社、河北新報社、岩手日日新聞社、NHK仙台放送局、
      NHK盛岡放送局、lBC岩手放送、テレビ岩手、めんこいテレビ、
      岩手朝日テレビ、東北放送、ミヤギテレビ、仙台放送、東日本放送
■第1部リレートーク「北上川をめぐる多彩な活動の紹介」
○出演者
      新井 偉夫(北上川流域連携交流会代表世話人)
      後藤  晨(水沢市長/北上川流域市町村長懇談会世話人代表)
      千葉  荘(岩手県川崎村長)
      中潭  弘(宮城県登米町長/みやぎ北上連邦大統領)
      吉川 勝秀(建設省河川局治水課流域治水調整官)

  川に人が集う。心と心が結ばれる。川の素晴らしさに触れ、川を守り、そして川を通 じたまちづくりへ。
  現在、北上川流域では、行政、民間を問わず、様々な活動が行われています。フォー ラムの第一部は、流域の市長村長、市民グループの代表、そして建設省関係者の皆さん が、その活動ぶりをリレートークの形でお話ししました。みなさんのお話を要約してみました。

 

ボランティア200人に支えられ、E−ボート大会に千人が参加
                千葉 荘氏(川崎村村長)
 川崎村は洪水で非常に有名な村で、一昨年には悲惨さ日本一と書かれた村でございました。やはり北L川、砂鉄川、千厩川と、一級河川が3つも流れてるせいかもしれません。このように位置的には非常に川と関わりの深い村です。今まではどちらかというと、川と戦っててきたわけですが、これからはもっと仲良くつきあっていこうと考えております。そのーつの取り組みが、Eボート大会です。
 今まで川のイベントというと花火大会が主でございました。人はいっぱい来ていただけますが、皆が参加する、楽しむという面ではもの足りないところも感じておりました。そんな時、平成7年に愛媛へ伺った際に、初めてEボート火会を見たわけです。これなら川崎村でもできそうだということで、始めてみました。
 最初の年はどちらかというと、行政ヽ主導でやったわけですが、2年目はボランティア等の民間の方々に多数ご協力いただきまして、100名近くのご参加を得ました。去年の大会はl00チーム千名の参加で行われ、200名のボランティア・スタッフにお手伝いいただきました。スタッフの中には村外の方もおりましたが、人口5千人の村に200名というのは、大変な数だと思います。それに応援団、観客を入れれば村の人口の5割程の人数が集まったことになります。
 優勝したチームの平均年齢は65歳ぐらいで、2位も60歳過ぎのチームでした。20代の若くて力のあるチームも出たのですが、負けてしまいました。つまり、子供たちからお年寄りまで皆で楽しむことができるわけです。これから川と仲良く付き合つていく上で、Eボート大会が良い機会になっていくと思います。やはり、また川にもどって遊ぶ、子供を連れて行く、そういうことの教育的効果というのは大きいのでは、と感じています。
 村外からは全体の40%強ぐらいのチームが参加し、遠くは大阪の方から参加した人もいたようです。やはり、l回出るとおもしろいようで、それがlつの輪になつていくというのが、見ていてわかります。私もEボートの愛媛大会で、今日もいらしている新井さんにお会いしたんですが、その後も、いろいろなお付き合いをさせていただいています。そういう輪を大切にしながら、我々の守るべきものを、きちんと伝えていかなければいけないのでは、と思っております。
 EボートのEはイクスチェンジの頭文字で、この活動を通して交流につなげようということだそうですが、私たちにとっては母なる川、北上川でございます。交流だけでなく、エデユケーションとかエコロジーとかエンバライメントにまで発展させることもできるのでしょう。大会スタッフの方々からも、Eボート大会に限らず、もう少し中学生の催しをやったらいいのではないか、という意見が出ています。そこが今後のテーマではないかと考えています。

 

4つの町が北上川を中心に連携。
  様々なプロジェクトで町おこしへ
       中渾 弘氏(登米町町長)みやぎ北上連邦大統領
 「みやぎ北L連邦』は、この一関肘からおよそ40キロぐらい下流にございまして、中田町、東和町、津山町、そして登米町の4町が広域的な連携をして、北上川を中心に大いに町の活性化をはかろうと、昭和60年に建国されました。この北上川流域は、かつては川と共に大いに発展してきた町だったのですが、それがいまや過疎化・高齢化に歯止めがかからず、一つの町だけでは町づくりができない状態です。そこで共通の問題を持つ地域が連携して、お互いに競争、調和を理念として励みながら、町づくり、町おこしをしましょうと結成されたわけです。今年で早くも13年になります。
 協力をしながらも、我々はそれぞれの町の特色を生かしながら町おこしをしております。例えば津山町の場合には「水と緑とロマンのまち」、中田町は「水と緑とスポーツの里」、東和町は隠れキリシタンで有名なところなのですが、「ウエディングベルの聞こえるまち」、そして我が登米町は「みやぎの明治村」というプロジェクトをベースにして、4町で活性化をはかろうと努力中でございます。
 具体的には、持ち回りで1年ごとに、大統領、水大臣、光大臣、緑大臣を交代でやっております。その就任式や、北上水系の野球大会、花火大会、あるいは手作り船川下りレース全国選手権、かっぱマラソン、親善野球大会、その他いろいろなイベントを、それぞれの町おこしにつなげていこうとしています。
 また、北上川に清い水を提供する山林の育成、育林事業、あるいはまた北七川水辺の清掃活動等もやり続けていかなければと考えています。「環境づくり」という問題は、これからますます大切になつていくことでしょう。
 水は常に低きにあつてが物を潤しております。その恩恵を我々は時として忘れます。私も常に低きにあつて黙って万物のためにつくし、北上川の水の恩恵を忘れないで、親しみをもって努力していきたいと、これが行政の責務であると思っているわけです。

 

リバーマスタースクール」を始め、活発化する民間の動き
       新井偉夫氏(北上川流域連携交流会代表世話人)
 「北上川流域連携交流会」は、北上川の上流から下流までをひとつとして考え、県や市
町村の垣根を越えて、そこに住む生き物や自然の様々恩恵、さらには歴史、文化などを学んでいこうというものです。また、活動を通じて様々な人と交流を広げていきたいと考えています。
 最初は、流域のいろいろなイベントに参加したり、「川のたより」という広報誌を出したりしていましたが、一層の交流を深めるため、つまり仲良くなる方法論として「リバーマスタースクール」=川の学校というのを始めました。幸い、我々民間が中心になつて活動することで、地域社会が変わつてきたかなという手応えは、少しづつですが感じています。
 宮城県や岩手県の知事さんは知っていると思いますが、実は建設省の資料や県の公式文書の中には、「リバーマスターを支援しよう」、「北上川流域連携交流会をしましょう」とうたっています。しかし、行政の中でも知らないという人が多いようで、そこが残念でなりません。
 私も初年度から参加していますが、北海道ではリバーマスタースクールを教育委員会を巻き込んでやっています。北上川は2年になりますが、まだ教育委員会は参加していません。
 行政に対して思うのは、我々がやることに対して問題があれば、問題を回避していただきたい、活動するのに支援が必要だなと思つた場合には、支援をしていただきたい。そして、このことに関しては、行政も財界も市民も一緒になってやってい欲しい、という3点です。
 私はここでは詳しい話をするつもりはありません。まずは、身体で学びに北上川リバーマスタースクールに来ていただきたい。この会場にいる全ての人が来てくれたら、素晴らしいですね。自らやってみるというのが一番大事ではないかと思います。今日のフォーラムは、「川の流れが地域の新しい関係を創る」というのがテーマのようですが、もう関係は創られています。あとはいかに実践するかです。よろしくお願いします。

 

川を通じて、子供たちが環境や福祉について学ぶ場を
    後藤 晨氏(水沢市市長)北上川流域市町村長懇談会世話人
 北上川では、新井さんからもお話しがあったリバーマスタースクールを始め、民間の活動がたいへん活発になつています。私たち市町村・自治体としても、これを支援していこうということで、昨年の4月に北上川流域市長村長懇談会が発足しました。まず全流域、日を決めて河川の清掃活動をすることになり、昨年4月の発足時には、それぞれの地域で川の清掃をしようと約束いたしました。これには大変な参加者があり、水沢市でも千人を越える市民が活動に加わっています。
 また、すでに各地域でやっている水質調査等を、小学校や中学校の生徒さんにやっていただき、今、川の流域がどのうなことになつているのかを知って欲しいと思っております。川に視点をあてて、子供たちに体験学習をしてもらうわけです。川を中心に環境を学ぶことにより、福祉の問題、あるいは様々な老人の問題を考える機会になればと思つています。
 このように、民間の活動は進んでおりますが、私ども市町村長も民間の方に負けないように、あるいは民間の方々の後押しをするような努力をしていきたいものだと考えているところです。
 水沢市に限つて言えば、道の駅が北上川沿いにございます。この周辺を岩手工事事務所さんに整備をしていただいて、その一帯を「水辺プラザ」とし、道の駅と合わせて、川に親しんでもらう、子供達が元気に遊んでもらえるスペースにしようという計画があります。
 連携交流では、登米町の子供と水沢市の子供に交流してもらおうということで、今、教育委員会同士でどのような交流を進めるか相談をしております。かつて明治の初期でございますが、水沢県の県庁所在地が登米町にあつたということで、昔から登米と水沢は関係が深いわけです。
そこで、昔のつながりを大切にして、子供達の交流を進めようという気運が出ております。

 

北上川は流域連携の先進事例。
 日本各地、アジアの川とも交流を
          吉川勝秀氏(建設省河川局治水課)
 河川審議会からはいくつかの答申が出ています。流域を視野に入れましょうということ。また「川の365日」ということなんですが、洪水とか渇水という特別な時の川だけではなく、普段の日の川のことも、しっかり行政目的に入れましょうということ。あるいは連携を重視しましょう、情報を重視しましょうということです。このような答申の中で阿川法の一部が改正されて、治水と利水に加えて環境が目的だということなりました。さらに、これから川の工事については、計画の情報を広く公開して、市町村、あるいは県、それから市民の意見を聞いて、計画を作つていくということになってきています。
 ここで言っている川の365日というのは、行政の仕事というよりは、地域の方たちで作つていく活動、そして行政は支援ということになるでしょう。そのような活動の先進的事例が、北上川ではないかと思います。
 北上川は大きな川としては、そういった面では全国で最も進んでいると言われています。流域連携交流会という水環境のグループが活動しているということと、こういう大きな川に対して市長町長さんが活動しているということ、この2つが同時に行われている場所は、北上川流域しかないでしょう。
 今後は流域の活動を通じて、例えば四万十川のような国内の川と交流連携するのもおもしろいでしょう。将来的には、アジアの川とも連携できればいいのではないでしょうか。
 最近では、市民ネットワーク化の時代とも言われています。地域を作っていく上で、連携交流会のような活動がさらに進むのは、たいへん喜ばしいことです。そして、先ほどもお話があった、活動の対象が子供とか福祉に広がっていけば、たいへん素晴らしいことでしょう。

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