北上川流域民憲章


 北上川−。奥羽・北上の山々を流れ下った幾筋もの川を合わせ、悠々たる大河となり、太平洋へと至る。北上川は、私達の川である。

 春、山野や水辺には新たな生命が芽吹き、夏には緑が影を濃くする。秋、色づいた山野は実りに満ち、川はサケが遡上する。そして冬、粉雪が舞い散る下で、大地は力を貯える。

 われらが故郷「日高見国」は、この豊穣の大地に生まれた。山の民、野の民、海の民、そして街人は、北上川を主軸に網の目のような絆で結ばれ、文化を育み、その恵みを分かちあって来た。水辺は活気にあふれていた。

 しかし、この百年、物質文明繁栄の中で、人々の心から川は消え去った。北上川に行き交う船影はなく、水は汚れ、動植物たちも少なくなった。

 今、二十一世紀を前にして、私達は本当の豊かさを得るために、再び北上川と共にあゆまなければならないことに気づいた。そして人と川の歴史を遡り、子供達の歓声があふれる水辺をよみがえらせようと決意した。北上川と共に生きることは、流域民のかけがえのない誇りなのである。

北上川流域六十三の自治体と住民、流域を愛するすべての人は、来るべき二十一世紀が「流域の世紀」であることを確信し、川と人との永い歴史に育まれた流域の絆の再生と創造を誓って、ここに「北上川流域民憲章」を制定する。

 

「北上川流域民憲章」

    1. 北上川は、われらが川である。

    1. われらは、川に遊び、川に学ぶ。

    1. われらは、川に感謝し、共に生きる。

    1. われらは、流域民の誇りと絆を共有する。

    1. われらは、川の新たな歴史と文化を創造する。

                               平成八年十月十三日


  この流域民憲章は、21世紀北上川流域の会が花巻市を会場に10月12日13日に開催した、第3回「北上川サッミットにおいて制定されたものです。この憲章が拡大、浸透し、流域民一人ひとりが実践されることを願っています。

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